わが国の自殺者は、平成10年に急増し、年間約3万人台で推移していました。
平成18年の自殺対策基本法の成立以降、様々な取り組みの成果もあって平成22年以降は減少傾向となっていますが、その死亡率は高く、依然、深刻な状況にあります。
下のグラフは、自殺者数と交通事故死者数の比較です。自殺者は交通事故死亡者の約7倍にも値し、欧米の先進諸国と比較しても非常に高い水準にあります。
警察庁資料より北九州市作成
北九州市における自殺者数は、平成23年は253人で、以降、減少傾向にありましたが、令和2年は前年と比べて163人と増加しています。男女別にみると、男性は女性のおよそ2~3倍で推移しています。
厚生労働省資料(人口動態統計)より北九州市作成
わが国では、中高年男性の自殺死亡率(人口10万人あたりの自殺者数)が高く、20歳代から50歳代の男性で自殺者全体の約4割近くを占めています。
また近年では、男女ともに20歳代・30歳代で自殺死亡率が高い傾向にあります。わが国における若い世代の自殺は国際的にみても深刻と言えます。
これらの状況は、北九州においても同様です。
警察庁資料より北九州市作成
わが国における自殺の現状を踏まえ、平成18年に施行された自殺対策基本法のもと、国及び地方自治体、関係団体、民間団体等が連携を図りながら、一人ひとりがかけがえのない個人として尊重され「誰も自殺に追い込まれることのない社会」の実現を目指して、国を挙げて自殺対策に取り組んでいます。
自殺は、個人の自由な意思や選択の結果と思われがちですが、実際には、倒産・失業・借金などの経済・生活問題のほか、こころの病気を含む健康上の悩み、介護などの家庭問題など、さまざまな要因が複雑に関係しています。自殺は個人の問題ではなく、社会全体で考え、取り組んでいかなければならない大きな問題なのです。
自殺対策基本法に基づく自殺対策の基本指針である「自殺総合対策大綱」では、我が国の自殺をめぐる現状を整理するとともに、次の3つの基本的な認識が示されています。自殺対策を推進するうえで、まずは、自殺について正しく理解することが重要です。
自殺は、個人の自由な意思や選択の結果と思われがちですが、実際には、健康上の悩みをはじめ、倒産・失業・借金などの経済・生活問題、家庭問題等、さまざまな要因が複雑に絡みあった結果、心理的に追い込まれた末の死と言えます。
また、自殺者の多くは、自殺の直前にうつ病などの精神疾患を発症していると言われます。
うつ病などの精神疾患への適切な治療により、自殺は防ぐことができます。また、そのためには、制度・慣行の見直しや相談・支援体制の整備などの社会的な取り組みも必要です。
自殺を図った人が、精神科医などの専門家に相談している例は少ないと言われています。家族や職場の同僚など、身近な人はそのサインに気づくことも多く、この気づきを自殺予防につなげていくことが課題です。
どの年代でも、大きなストレスが迫ってくることがあります。それらがきっかけとなり絡みあったとき、不眠、うつ、飲酒問題などが「解決しない悩みのサイン」としてあらわれることがあります。特に、周囲の人がそのサインに気づいたら、ひとりで抱え込まず、医療機関や専門機関へ相談するようすすめることが大切です。
心の悩みを抱えている人が発する周りへのサインとして、次のようなことに気をつけてください。
不眠は、大きなストレスのあらわれです。疲れているのに2週間以上続く場合は、うつ病の可能性があります。不眠はがまんせず、医師や保健師等の専門家・医療機関に相談しましょう。
こころとからだにあらわれる「うつの症状」に注意しましょう。2週間以上続く場合は、うつのサインです。
こころの症状 | からだの症状 |
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眠れないからといって、お酒を飲むのは逆効果です。飲酒は深い眠りの妨げになります。また、飲酒は、判断力低下や衝動的な行動をひきおこし、自殺の危険を高めます。
なお、飲酒に関する問題は、特に中高年男性に多くみられます。
「ゲートキーパー」とは、自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応を図ることができる人のことで、特別な資格などは必要ありません。
自殺を予防するために、まずは大切な人の悩みに気づくことが大切です。周囲の方の悩みに気づいたとき、また、自殺を考えているのではないかと思い当たるとき、次のことを心がけてください。
大きなストレスや悩みを抱え、自殺に傾いている人ほど、「こんなこと誰にも言えない」「相談してもどうにもならない」とひとりで抱え込みがちです。どんなに複雑に絡み合った問題でも、専門家や相談窓口に相談することで、解決の糸口が見つかることがあります。まずは、相談してみることが重要です。周囲の人が抱えている悩みやサインに気づいたり相談を受けたりした場合、決してひとりで抱え込まず、専門家などへの相談をすすめ、必要に応じて相談窓口等へつないでください。
北九州市内にお住まいの方が利用できるさまざまな相談窓口に関する情報を掲載しています。日頃の相談・支援に役立ていただくとともに、悩んでいるご本人にぜひこのサイトの情報をお知らせください。
また、こころの病気について、どう対応すればよいのか困ったときなどのヒントになれば幸いです。北九州市が実施する研修等の情報も掲載していますので、あわせてご活用ください。
「こんなこと誰にも言えない・・・」「相談してもどうにもならない・・・」とひとりで抱え込んでいませんか? 北九州市内にお住まいの方が利用できるさまざまな相談窓口に関する情報を掲載しています。
もしかしたらお役に立てる窓口があるかもしれません。まず、ひとりで悩まず、相談してみてはどうでしょうか。
このサイトが、そのためのお役に立てればうれしいです。