メイン画像へジャンプ
ここから本文です

こころのメッセージ

NEW
明日を共に(自殺予防について今、一番強く感じていること、力を入れていること) ~大切な人を自死でなくした方々へ~

自死遺族支援リメンバー福岡 児玉豊彦

R6年3月掲載

2024年を迎えて3か月が経とうとしていますが、新年早々地震や事故が起こり、今でも被災地では多くの方々が困難な状況に置かれていることと思います。国外に目を向ければ、今でも世界各地で紛争が続き、今なお戦禍によって命を落とす方々がおられます。このような災難が1日でも早く解決に向かうことを願ってやみません。

私達リメンバー福岡はながらく自死遺族の支援活動に取り組んできました。自死の多くが突然の死であることからも遺族が受ける衝撃は大変なものです。そして未だに自死についてタブー視される風潮がある社会においては、誰にも自分の苦しみや悲しみといった気持ちを打ち明けられずに苦しんでいる遺族が多くおられます。私達はそのような自死遺族の方を対象に分かち合いの場を設けています。

私が分かち合いを行う上で大切だと思うことは、「相手の気持ちに寄り添う」、「相手の立場を理解する」ということです。分かち合いにはいくつかルールがあり、誰かが話している時は、途中で話を遮ることなく相手の話を傾聴します。また話した内容を批判することもありません。そのように安心して自分の気持ちを打ち明け、他者に受け入れてもらうことで、自分への尊厳や本来の自分を取り戻し、抑え続けていた感情や自責の念から解き放たれ、生きづらさを減らすことができます。そして心の中にいる故人と共に明日を迎えることができるようになります。

「相手の気持ちに寄り添う」、「相手の立場を理解する」というのは、自死遺族支援に限らず、今の社会に必要なことではないかと思います。今でも時々SNSによるバッシングや炎上が原因で、自殺で命を落としたというニュースが報道されます。攻撃的なメッセージを送る前に、相手の立場や気持ちを理解しようとする思いがあれば、このような悲劇は防げるのではないでしょうか。

相手を理解しようとする気持ちが広がる事で、今生きづらさを感じている人も、自死遺族も生きやすい世の中になっていくと思います。

  • 一覧へ戻る