北九州市スクールカウンセラー 守吉 晃
H30年10月掲載
スクールカウンセラーの活動は、平成7年、当時の文部省による調査研究委託事業として開始し、平成13年度に制度化され、以後、実践を積み重ねています。そして、支援の対象には、学校コミュニティに所属する子ども全員、それに加えて保護者や教職員も含まれます。
また、スクールカウンセラーには、学校教育の目標である「子ども一人ひとりの、その子らしい発達の援助」(鵜飼、1997)の実現に向けて期待される以下の役割があります。
特に、スクールカウンセラー単独で支援を行うことには限界があるため、学校コミュニティの資源をフルに生かし、時に外部の専門機関との連携を行いながら、課題へ対処していく必要があります。近年の「チーム学校」というスローガンがよく言い表しているように、学校の多様化する課題に対して、多職種との連携のなかで、専門職としての機能を発揮していくことが期待されています。
みなさんは、スクールカウンセラーと聞くと、個別に丁寧に相談を聴く「カウンセリング」のようなスタイルを想像されるのではないでしょうか。 もちろん、スクールカウンセラーも、人間関係や家庭の問題、進路や心身の不調というような内容の個別の相談も行っています。
一方で、心理教育的手法を用いて、教育・予防啓発活動の一翼を担うことも重要な役割となっています。
具体的には、
などを行っています。
北九州市では、平成30年度から「スクールカウンセラーによる小学5年生全員面接」が行われています。
これは、思春期的心性の兆しの学齢にスクールカウンセラーの面接を体験してもらうことで、遠くない将来、困ったり心配を抱えたりした時に「学校にはスクールカウンセラーという相談できる専門職の人がいる」ことを知り、また、友だちや知り合いが困っている時に紹介できる存在として、スクールカウンセラーを知ってもらう機会になることを願って行われるものです。同時に、子ども自身も、今の状態や気持ちについて伝える貴重な機会にもなると考えています。
これらは、カウンセリングなどの個別相談とは異なるレベルからの予防教育的アプローチであり、子どもが心理的な困難や課題を抱える前に、予防的視点を提供し、困った事態の早期発見、早期対応につながる支援になるものと考えています。
【参考文献・引用文献】
鵜飼美昭・鵜飼啓子(1997)『学校と臨床心理士―心育ての教育をささえる―』
(ミネルヴァ書房)