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こころのメッセージ


『うつ』に困らされている人々へ

はいしクリニック 臨床心理士 福崎 はる

H15年11月掲載

 「うつ」に困らされている人々というのは、どのような人々をさすのでしょうか。「うつ」によって自分が望まない生活を送ることを余儀なくされた人や、自分の大切な誰かが「うつ」に支配されている人や、なんとかして「うつ」の影響を抑えたいと思いながら治療や援助に専念しているが上手くいかない感じを抱いている援助者も、きっと「うつ」に困らされている人たちですね。他にも、いろいろな立場で「うつ」に困らされている人がいるのかもしれませんね。

 「うつ」は、非常に強敵で、時に、あらゆる手段を使って私たちを困らせます。「うつ」は、私たちに、価値のない人間だと感じさせたり、なんの役にも立っていないと思わせたりして、私たちの意欲をなくさせます。

あまりに「うつ」の威力が強いと、私たちは時に、生きる希望さえも奪われてしまうこともあります。そして自分の大切な誰かが「うつ」に影響を受けて困っていると、傍にいる私たちも「うつ」の影響を受けて、つらくなったり困ったりすることがあります。そしてそれが長く続くことで「うつ」は、私たちに「これ以上、いろいろしてもダメなんじゃないか…」とか「私たちには何の力も無い」と思わせ、無力感に浸らせることもあります。
また「うつ」は、傍にいる私たちの悪い所ばかりを見つけさせたり、私たちに罪悪感を感じさせたりします。他には「うつ」は、私たちをイライラさせたり悲しませたりがっかりさせたりして、私たちから心のエネルギーを奪っていくこともあります。

 そんな強敵な「うつ」に対して、私たちは本当に無力なのでしょうか?四六時中「うつ」に支配されっぱなしなのでしょうか?私たちは「うつ」に影響を受けながら困らせられながらも、どうやってなんとか毎日生き抜いているのでしょうか?「うつ」の威力が少しでも弱い時は、いつなのでしょう?「うつ」に影響を受けていない部分が少しでもあるとしたら、それはどんなところなのでしょう?
「うつ」になるべく影響を受けずに、少しでも困らせられずにいるために、今まで私たちはどんな工夫を気づかないうちに日々してきたのでしょう?

 その答えは、きっと一人一人違うはずです。
なぜなら生きてきた道のりも毎日の生活も一人一人違うからです。そして自分にぴったり合う「うつ」対処法を見つけた時、もしかしたら「うつ」の影響を最小限に食い止めることができるのかもしれません。

 私たちは何かに困った時、専門書を読んだり専門家に尋ねたり、身近な人に相談したりして、困難を乗り切るためのアドバイスや方法を求めることがあります。それらのアドバイスや方法の中で本当にその人に役立つものは、その人に合ったものだけです。
なぜなら、どんないい方法も素晴らしいアドバイスも、その人に合わなければ受け入れられないし実行できないからです。ですからここに書いてあることも、今読んでくださっているあなたに合わなければ、なんの役にも立たないただの文字でしょう。少しでも合う部分があれば、何かにどこかで取り入れてみることもできます。

 そして、私たちが「うつ」に困らされている時、既にしている工夫について少しずつでも気づきながら自分に合う方法を見つけていけたら、ぴったり合うアドバイスを自分で自分に教えてあげることができるようになるかもしれませんね。

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