九州国際大学 窪田 由紀
H15年8月掲載
いきなり衝撃的なタイトルで驚かせてしまって申し訳ありません。勿論あってはならないことなのですが、ここ数年正式に報告されているだけで毎年三万人以上の人が自ら命を絶っています。自殺が起こると本人の命が失われるのみならず、身近な人々も深く長期にわたるこころの傷を負うことになるなど、看過できない問題となっています。
しかし、皆さんがタイトルでぎょっとなさったように、まだまだ「自殺」について語ること自体がタブー視されているのが日本の現状です。自殺は逃避、弱さとする一方で、責任を取る前向きの行為として美化する考え方も存在し、具体的防止についての取組は著しく遅れているのが実状です。
ここでは、「自殺とはどのようなものか」を簡単に整理した上で、身近な人が「自殺」を考えているのではないかと思った場合に、周囲の人にできることについて考えてみたいと思います。
これらは、「自殺」について考える際に、人々が自分の不安を解消するために作り上げた「神話」です。特定の原因で生じるものではなく、中には周囲の気を惹くために「死にたい」と訴える人がいるにしても、その人たちを含めてもしそんな訴えがなされたら、精一杯受け止めることがまず何よりも必要です。結果として本人が必要なサポートを得て、自殺を思いとどまることも可能です。
まずは、あなた自身が信頼できる大人や専門家(精神科医、臨床心理士など)に相談してください。それが大切な人を守る第一歩です。是非とも専門家の力を借りてください。
ただ、専門家の力だけで解決できる問題でもありません。身近にいて、その人を何よりも大切に思っている人からの支えを実感できることは、自殺を防ぐために欠かせないことです。身近なあなたに何ができ、何を専門家にゆだねるかといったことを話し合うためにも、まずはあなた自身が専門家に相談することが大切だと思います。以下に示すことはその上で身近なあなたにできることの一例です。くれぐれも一人で抱え込まないでください。※身近の大切な人から「死にたい気持ち」を打ち明けられたら?
「そんなこと考えたらだめ」「死ぬ気になれば何でもできる」などなど、何とか説得して思いとどまらせたくなりますね。でも、ちょっと待ってください。そう言われたら二度と辛い気持ちを話せなくなります。あなたを信頼し打ち明けてくれた相手の気持ちをくみ取り、まずはじっくり話を聴いてください。「そんな風に思うようになったきっかけ」を尋ね、本人の辛さに共感してください。その上で「死んでほしくない」「何とか力になりたいと思っている」あなたの気持ちを伝え、「あなたの力になるために信頼できる大人(親、教師など)に相談すること」を丁寧に提案してください。
※身近な大切な人が「死にたい気持ち」を持っているように感じたら、
「最近すごく元気が無くて気になるけれど」「もしかして、死にたい気持ちがあるのではないかと心配なんだけど」。あなたの相手を心配する気持ち、気遣う気持ちを穏やかに伝え、いつでも相談に乗ること、力になりたいことを繰り返してください。心のこもった心配は決して煩わしいものではないし、いざとなったら相談できると思うだけで随分支えとなるものです。
とはいうものの、うまく振る舞えなくても決して自分を責めないでください。動揺して当然です。できればその思いを誰かとわかちあうことができればいいのですが・・・。