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こころのメッセージ


北九州市子ども・若者応援センター「YELL」について

北九州市子ども・若者応援センター「YELL」センター長 戸内 智子

H27年3月掲載

1.若者の将来を総合的に考えて行く機関として

子ども・若者応援センター「YELL」は、若者の「次への一歩」を応援しています。なかなか一歩を踏み出せない若者は、悩みをどこに相談したらいいのか分からない、相談できる人が近くにいない、対人関係の苦手さを克服したい、コミュニケーション力を高めたい、仕事につきたいがどうしていいのか分からない等、一人ひとりが抱えている問題も複数あり、個人の問題だけではなく社会的背景もあり、個人では解決できないことも多々あります。

そのような若者が、気軽に相談できる場所が、子ども・若者応援センター「YELL」です。ひとりで悩むのではなく、一緒に考えてくれるスタッフと共に、どうしたら良いのかを考えていく事で、問題や課題を整理することができます。また、問題や課題を解決するために必要な情報提供をおこない、北九州市のさまざまな専門機関との連携をとり、総合的に支援を行う事が大きな特徴です。地域社会と若者を繋ぐ役割も行っています。

人との関わりをもち、繋がる力を育み、自信や希望を持つことができるように、若者を応援しています。利用できる人は、15歳から39歳の若者とその家族です。

2.YELLの利用者の声

ちょっとした出来事で、学校に行けなくなった、家から出る事が出来なくなった、仕事を辞めてしまった、何から始めていいのか分からなくなった、人との関わり方やコミュニケーションを取るのが苦手、等の悩みを持つ若者は、共通して「どうにかしなければいけないと、分かっているがどうしたらいいのか分からなかった」「ひとりで考えるのは辛かった」「親には言われたくなかった」と、言います。

「どうしていいのか分からなくなる」事は、特別な人だけではなく、誰にでも起こりうる可能性があり、そのような時、友達や先生、親に話す事で解決することもできます。しかし、親でも、学校の先生でも友達でもない第三者の方が相談しやすい時もあります。

来所してくれた若者からは、「相談できる人がいる事で、気持ちが楽になり、何かやってみようかなと思えるようになった。」「自分に出来る事が増えた」「仕事をしてみようと思った」と話してくれます。

3.具体的な例として

若者の悩みや問題に沿って、面談を行い、解決方法を考えていきます。
自由に気持ちを話すことができ、スタッフはじっくりと話を聴きます。その回数を積み重ねることで、家から出て、少しずつ外出することに慣れ、人との関わりの練習やコミュニケーションの練習を行います。同じ悩みをもつ人達とのサークル活動や、講座に参加することで、自信がついていきます。

外での活動では、ボランティア活動や農業体験を通して、他者と関わる体験を積み、自分の出来ること探しを行うことができます。

また、地域や社会と繋がる練習を行い、就職の為の仕事体験等、を通して、社会参加の練習もできます。

例えば、高校中退後、何をしたらよいかわからず悩んでいた若者は、面談を重ね、ボランティア活動や仕事体験を行うことで、仕事に対してのイメージが深まり、就職に向かって準備を行えるようになりました。現在、就職し元気に働いています。

また、高校卒業後大学進学がうまくいかず、長い間家で過ごし「YELL」へ来所。その後ボランティア活動の中から、自分の強みや、将来自分の就きたい仕事の目標が見つかり、その仕事に必要な知識を深める為に、大学に進学し学んでいます。

他にも、高校中退後、将来について迷っていた若者は、面談を重ねることで、高校卒業し資格を取得したいと思うようになり、高校進学に再挑戦し夢に向かって進んでいます。

そして、大学在学中に、登校できなくなり家で過ごしていた若者は、面談と体験活動を行う中で、毎日、外に出て活動することができるようになり、自信を取り戻していき、大学への復学をすることができました。

「YELL」のプログラムには、コミュニケーションの練習を行う活動、自己理解を深める活動、社会参加の練習を行う活動などがあり、仲間作りも行えます。

その中の一例に、若者が「ゆるキャラ」の中に入り、イベントや観光地を盛り上げ、市民との交流を行う体験活動を行っています。「ゆるキャラ」の中だとちょっとした安心感もあって、子ども達の人気者です。自己表現力を養い、自信もついてきます。

ゆるキャラ

そして、「次への一歩」を踏みだした若者が沢山います。 面談や活動を通して、長い間悩んだ経験のある若者は、地域社会との繋がりを取り戻し、進学や就職など、自分の進路を決めて前に進んでいく事ができます。

4.終わりに

私たちスタッフは若者とかかわる中で、ひとり一人のペースを大切にしています。そして、ひとりではなく一緒に考えることで、解決の糸口を探していきます。ぜひ、気軽に相談できる場所があることを、ひとりでも多くの人に知って頂き、なにか困ったことがあれば、まず相談に来てください。そして、周りに悩んでる人がいたら、「YELL」があるよ!と教えてあげて下さい。

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