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こころのメッセージ


子ども若者の生き辛さを生きる力に~北九州市ひきこもり地域支援センター「すてっぷ」の取り組み~

センター長、NPO法人STEP・北九州理事 田中 美穂

H27年3月掲載

北九州市の子ども若者支援

2009年10月ウエルとばた2階にオープンした北九州市ひきこもり地域支援センター「すてっぷ」は、概ね18歳以上の方の社会的ひきこもりに関する相談に電話、来所、訪問等の方法で対応しています。

小、中、高校までの在学生の場合は「不登校」として子ども総合相談センターで相談ができます。また、子ども・若者応援センター「YELL」ではよろず相談窓口として、15歳から39歳までの若者の相談を受け付けています。

この3センターは同じウエルとばた内にあり相互に連携しながら、継続的に必要な支援を提供できるようにしています。

若者に対する支援は、2009年「子ども・若者育成支援推進法」の施行以降、本市でもより強化されています。

NPO法人STEP・北九州の歩み

24年前(1991年)、不登校を考える市民の会として「学校に行かない子どもを支える会・北九州」が発足しました。

当時、不登校の児童、生徒の増加に対応が追いついていない状況でした。

「学校に行けない」ということが周囲の大人には理解され難い上に、当事者もその理由をどう伝えたら良いのかわからない場合も少なくありません。

親子共に混乱に陥った時、受け止める場所や共感してもらえる仲間がいたら、気持ちを落ち着けて次に向かう準備を始めることができるのです。

しかし、早く子どもを動かすために何が有効かを焦った結果、かえって当事者を追い詰めることもあります。

会では家族の定例会や情報提供、専門家の講演会などを開催して親御さんの気持ちを受け止める活動をはじめ、当事者の居場所活動や体験活動などに取り組みました。

やがて当事者も成人年齢に達するようになると「学校に行けない」問題から「社会と関われない」問題に変化し、同様の体験を持つ若者達の主体的な活動の場としてセルフヘルプグループ(Beあい)も生まれました。

会は発足から16年経った2007年に親の会(輪の会)、当事者会(Beあい)、事務局兼若者のフリースペース運営を担うSTEP・北九州に分割し、再スタートしました。

更に2009年にはNPO法人化し、北九州市ひきこもり地域支援センターの運営を担うことになりました。

ひきこもり地域支援センターの事業

センターオープン後5年が過ぎ、利用者累計が1000名を超えました。

当事者の年齢や生活環境などにより抱えておられる問題も様々で、すぐに解決策が見つかるとはいかない場合も多いのですが、それでも一歩踏み出されたことを大切にしたいと思います。長年にわたって悩み、止まっているかに思えた時間が再び動き始めようとしている時に、一緒に支える場所があれば次の一歩が少し楽になると思います。

病気や障碍が主な原因という訳ではなく、一旦社会人として自立した人にも起きることもあるのが「ひきこもり」の対応を難しくしている一因ではないかと思います。

しかし相談内容によっては、早く病院受診をお勧めした方が良い場合もありますので、まずはご家族からでもセンターと繋がって戴きたいと思います。

ひきこもる本人を何とかしなければ、と考えるのはもっともですが、まずご家族が落ち着いて対応して戴くことが当事者の心の安定に効果的であることは確かです。

センターでは相談だけでなく、フリースペース(市内3か所)や各種クラブ活動、家族会や当事者会など、心と社会生活のウォーミングアップの期間を無理なく過ごして戴けるように、地域の方々とのコラボによる体験活動もご紹介しています。

ご本人もご家族も、そのままの自分で安心して過ごせる居場所を家庭以外にも見つけて戴き「ここからもう一度始めてみませんか?」とお誘いしています。

言わば、優しい小さな社会体験です。格別な準備も経験も要りません。ただ、お互いの気持ちに配慮して、共に居心地良い居場所を作る仲間になって戴きたいのです。

「袖(S)すり合うも他(T)生の縁(E)パ(P)ワーメント」がキーワードです。

ふと振り返ると、不登校を考える市民活動からいつの間にか若者支援、又その枠から外れる年代の方々も対象となるようなひきこもり支援へと移行していく中で、子どもや若者の生き辛さから、私達は何を学ばなければいけないのかという問いにぶつかります。

そのヒントは、子どもや若者がいきいきと成長する社会の目指すべき在り方にも繋がるのではないかと思います。

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